121 KBH所蔵 貴重本紹介その23 「ビブリア・ヘブライカ・シュトゥットガルテンシア」

ヘブライ語(旧約)聖書( Biblia Hebraica Stuttgartensia ; 略称BHS)
蔵書番号:1051 蔵書場所:談話閲覧室新設書棚 発刊年度:1997年
発行地:ドイツ・シュトゥットガルト 
発行所:ドイツ聖書協会(Deutsche Bibelgselschsft)

 本書BHSは、旧約聖書の代表的校訂本として評価されている。旧約聖書本文原典はマソラ(伝承)学者と呼ばれるユダヤ教の聖書学者達が伝えたマソラ本文と呼ばれるものである。写本として伝えられたマソラ本文のうち、サンクト・ペテルブルグ(レニングラード)ロシア国立図書館所蔵の写本をBHSと呼び、現在、種々の「旧約聖書」翻訳本はこれを底本としている。

レニングラード写本が原本に選ばれた理由は、これが唯一残された旧約聖書の完全な写本だからである。写本には書写した人物はアロン・ベン・モーシェ・ベン・アシェル(アシェルの子のモーシェの子であるアロン)と、書写年は紀元1008年と記されている。BHSは羊皮紙に書かれ、皮革で結び合わされたコーディックス(綴り込み)形式の写本である。

レニングラード写本の本文中に見いだされる聖書本文はティベリア式母音符号やアクセント符号がついたヘブライ文字である。加えてその欄外にはマソラ註釈が掲載されている。更に本文上、言語学上の詳細な点を扱った、技術的な補遺が幾つも載せられている。現在市販されているBHSはレニングラード写本をドイツ聖書協会が複写したものである。

BHSは1977年に1冊にまとめられ、その後幾度も再刷された。日本では日本聖書協会が販売している。欄外に書かれているマソラはレニングラード写本に基づいているが、より一貫して分かりやすくなるよう編集してある。
(聖書翻訳の歴史p.11~p15)(展示委員 池田憲廣)