132【巻頭言】神戸バイブル・ハウス 理事長 神田 健次 氏「KBHの歴史的ルーツと聖書図書館」

クリスチャンセンター
神戸バイブル・ハウス 理事長
関西学院大学名誉教授
神 田 健 次 氏
日本聖書協会は、10月1日に創立150周年記念式典を迎えました。1875(明治8)年に横浜の居留地でスコットランド聖書協会が聖書普及活動を開始した時点に、その創立年を定めています。その翌年には英国と米国の聖書協会が日本支社を設立し、本格的な聖書普及活動を開始しますが、さらに1904年に聖書普及の事業拡大のために英国とスコットランド聖書協会は西日本に進出し、神戸市京町24番地に支社を展開しました。その時点に、神戸バイブル・ハウス(KBH)の歴史的ルーツがあります。そして1907年には、江戸町95番地に約500坪の土地にバイブル・ハウスを建設して、本格的な聖書刊行・販売事業を展開します。ところが太平洋戦争間近、国策により日本聖書協会に統合され、神戸のバイブル・ハウスは約33年にわたる活動に幕を閉じました。
それから64年後の2003年にKBHが復活し、23年には創立20周年を迎え今日に至っています。
日本聖書協会のご支援もいただき、KBHは今日多彩な活動プログラムを展開してきていますが、日本で唯一の常設聖書図書館はその重要な働きです。1907年に神戸で本格的に聖書を刊行した時の『旧新約全書』をはじめ、約20点の神戸刊行の聖書が展示されています。また、日本語聖書としては最古のギュツラフ訳の『約翰(ヨハネ)福音之傳』と『約翰上中下書』(1837年)、ベッテルハイム訳の『馬太(マタイ)傳福音書』と『馬可(マルコ)傳福音書』(1874年)、ジョナサン・ゴーブル訳の『摩太(マタイ)福音書』(1871年)なども復刻版ですが展示されています。その他、英語やドイツ語などの欧米各国の聖書、アフリカやアジア各国の聖書翻訳も含め、夥しい数の貴重な聖書が展示されています。この聖書図書館は、それ故研究者だけではなく、何よりもキリスト教主義の生徒・学生の皆さんに、また教派を超えた教会の皆さんに是非足を運んで見ていただき、手にとって共に学んでいただきたいと願っています。
KBHの歴史的なルーツが、英国聖書協会とスコットランド聖書協会の協力によって建設されたように、その出発点から教派を超えるエキュメニカルな特色があります。今日でも、KBHはエキュメニカルな広がりにおいて、多彩な魅力ある活動を展開してきておりますので宜しくお願い致します。