130【巻頭言】KBH理事 白井 進師「主は一人、信仰は一つ」

クリスチャンセンター
神戸バイブル・ハウス 理事
日本基督教団 北六甲教会
牧師代務者 白井 進

主は一人、信仰は一つ

1995年1月に、兵庫県南部に未曾有の被害をもたらした大地震が起こりました。いわゆる阪神・淡路大震災です。それからの復興を背景として、2001年神戸聖書展がそごう神戸店で開かれ、主催者の中心であったキリスト教諸派の主だった人たちからの発案で、2003年に神戸バイブル・ハウスが設立されました。いわば聖書を中心とする「主にある友情」が設立への起動力となったのです。

神戸バイブル・ハウスは、聖書の図書館として入館者に閲覧の機会を与え、またセミナー、講演会によって聖書の言葉の広さ、深さに触れること、聖書の言葉が世界に広まることにより、どのような影響を与え、実を結んでいるかという情報を提供することを目指しています。それだけではなくバイブル・ハウスの行事は、エキュメニカル活動(世界教会活動)の一環として、教派の壁を超えて協同してなされるところに特色があります。「主は一人、信仰は一つ」です。(エフェソ4章5節)

聖書の魅力はわたしたちが聖書を豊かに学びつつ、民族、伝統、文化、慣習等の違いを超えて、対話し、交流を深め、今の時に共に生きる道を探り求める力を与えられるところにあります。その時、イエスの歩んだ和解と平和の道に従うことができるのです。

教派の歴史や特色を尊重しつつ、平和や愛や正義の実現のために知恵や力を合わせることこそエキュメニズムの精神です。その場合、何が正しいかを問うことは大切であります。しかし、誰が正しいことを判断するのでしょう。人間が判断するとき、それは常に自己正当化の危険をはらんでいると言えましょう。

90年前のドイツで、ナチスの支配に抵抗した神学者ボンヘッファーは、倫理の出発点は、「どのようにして私は善くなるのか」、「どのようにして私は善いことをするのか」という問いを廃棄し、何が神のみ心であるのか、神が喜ばれることであるのかを探ね求めることである、と語っています。(ディートリッヒ・ボンヘッファー『倫理』、DBW版新訳、46頁参照)

謙虚な姿勢で聖書に聞きつつ、共に主イエスに従うことを目指して、神戸バイブル・ハウスで共に出会いたいものです。