125【巻頭言】「神の“家”の豊かさ」吉田 隆 師
クリスチャンセンター
神戸バイブル・ハウスセミナー委員会委員長
神戸改革派神学校校長
日本キリスト改革派甲子園教会牧師
吉田 隆 師
「神の“家”の豊かさ」
6月に大宮有博先生(関西学院大学教授)による聖書セミナー「《創造の季節》へのおさそい」が、4回にわたって行われました。このセミナーは本来2020年春に予定されていましたが、コロナで延び延びになり、ついには中止になってしまったセミナーです。「4年がけの宿題を終わらせることができました」と、先生も胸を撫でおろしておられました。
このセミナーで先生が主張なさったのは、世界的な環境破壊による生態学的危機に直面する今日、エコロジカルな視点で聖書を読み直すとともに、教会暦に被造世界を覚える《創造の季節》を創出しようということです。そして、その暦に読まれるにふさわしい聖書テキストを取り上げ、エコロジカルな視点で読むとどうなるかを説き明かす“目からうろこ”のセミナーでした。
私にとって最も印象的だったのは、ヨナ書のお話です。この書物の主役は言うまでもなく預言者ヨナですが、物語には意外な脇役たちがいたことに気づかされました。あの巨大な魚はもちろん、ニネベで粗布をまとった(!)家畜たち、トウゴマの木やそれを食い荒らした虫。さらには、荒れ狂った海や大風さえも。実に、自然界の脇役たちがこぞって主に従う中で、展開される物語なのでした.
エコロジカルの「エコ」の語源は、ギリシア語の「オイコス(家)」。エコロジー(生態学)とは、地球を一つの「家」と考える学問です。生態系の危機を訴えた教皇フランシスコの回勅「ラウダート・シ」の副題も、「ともに暮らす家を大切に」でしたね。被造物全体が、同じ「家」で生きる家族なのです。ちなみに、エキュメニカル(教会一致)という言葉の語源も同じです。
エキュメニカルな神戸バイブル・ハウスの働きが、神の「家」の豊かさを増し加えるものとなりますように!