123【巻頭言】「共にある喜び」白井 進 師

クリスチャンセンター
神戸バイブル・ハウス 理事日本基督教教団牧師

白井 進 師

イエス・キリストが聖書の最も大切な戒めは何ですかと問われた時、「神との関わりを大切にすること、人を分け隔てせずにその人との関わりを大切にすることです」と言われたことを思います。自分を絶対化せずに、平和を追い求めることでしょう。
 
イエスを主と信じるキリスト者が、教派や教会の歴史の違いを超えて、共に聖書の言葉に耳を傾け、福音を発信すること、これがわれわれの使命だと感じています。

神戸では毎年1月17日に三宮の市役所の横にある東遊園地で、阪神淡路大震災で犠牲に
なった方を追悼する、1.17の集いが行われます。本年は能登地方での大きな地震を念頭に、「1995 1.17共に」の文字とともに、約7千本の紙灯籠、竹灯籠に火が灯されました。

今年選ばれた「共に」の言葉には深い含蓄があります。地震の被害は多くの家、大切なもの、仕事を失ったこと、それにとどまらず、親や兄弟、親戚、友人その他の、人と人とのかけがえのない関係を失ったこと、その心の傷は筆舌に尽くせないほどに深いものでした。

災害に出会った人々には、これからどうなるのだろうかという不安感、つらく苦しい不快感、自分だけがこんな境遇になったという孤独感がつきまといます。

大きな試練に出会った時、つらい苦しみの中に置かれた時、今まで親しかった人が遠ざかってしまうという経験をします。それによって孤独感は一層大きくなってしまいます。その時、友というのは一体何だったのかと思うのです。

聖書に描かれるイエスは、特別な修行を修めた宗教家でも、深い悟りによって世の人とは違う人となった方ではなく、普通の人間として他の人の悲しみや苦しみ、無念さに対して、人一倍心を向けて寄り添い、真の友となり、共にそばに居続け、相手が癒やされ、立ち直れるように、徹底的に、祈られた方でした。

「友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない」とあります。わたしたちは人から白い目で見られたり、変わった人だと評判を立てられたりすることを恐れずに、出会う人々に対して、友のように尽くし、聖書に基づく真の平和を追い求めたいものです。