127【巻頭言】「良き知らせを伝える」 川邨 裕明 師

クリスチャンセンター
神戸バイブル・ハウス 副理事長
カトリック芦屋教会 主任司祭
川邨 裕明 師

「良き知らせを伝える」
主の降誕、おめでとうございます。

20周年を迎えた神戸バイブル・ハウスの喫緊の課題は、その存在を広く告知し友の会をはじめとする支援者を募り、経営基盤を強化することです。そのために理事会主導でいくつかのイベントが企画されました。私が担当したのは、「三代目 桂 春蝶 落語で伝えたい想い ニライカナイで逢いましょう ~ひめゆり学徒隊秘抄録~」の実施でした。

10月13日(日)、カトリック芦屋教会でほぼ満席の約150名の参加で盛況のうちに終えることができました。感謝です。
桂 春蝶さんの熱のこもった語りに、ハンカチで目を覆いすすり泣く声が会 場あちこちから聞こえてきました。

ABCアナウンサー桂 紗綾さんの司会で開演し、神田 健次理事長から神戸バイブル・ハウス についてのお話があり、友の会の紹介と入会が案内されました。20周年の時、制作した神戸バイブル・ハウス紹介ビデオも上映されました。桂 紗綾さんと桂 春蝶さんによるオープニングトーク で「ニライカナイで逢いましょう」制作に込められた意図や想いが披露されました。十字架の前 につくられた高座で落語が始まり、観衆は次第に物語の世界へと没入してゆきました。沖縄で元ひめゆり隊員にインタビューして、託された言葉を元につくられた物語は、桂 春蝶さんの話芸 で登場人物が生き生きと動き始めました。

企画段階、私が最も不安に思っていたのは、聖堂に落語が合うのかどうかでした。見ている人に違和感があれば、この企画自体が成り立たないと思って心配していました。ところが、聖堂に差し込む西日を受けて、光り輝く十字架のイエス像を背景に語る桂 春蝶さんの語りは、いつも以上に胸に迫るものがありました。終演後、SNS上で参加者の感想が交流されていましたが、聖堂の雰囲気に噺が ぴったり合っていて感動したというものが多かったです。桂春蝶さん自身も「イエス様から力を受けて、祈りの心で演じることができた」 とおっしゃっていました。

この企画を通して、キリスト教にまったく触れたことのない人に教会まで足を運んでいただき、神戸バイブル・ハウスの存在を知っても らうことができたのは、ありがたいことでした。このようなアピールを続けることが大切だと強く感じています。