130【会員教会を訪ねて】53 日本基督教団 芦屋三条教会

53 日本基督教団 芦屋三条教会
〒659-0086 芦屋市三条南町4-11
TEL 0797-31-6730
「え~!ここ教会だったのですね。ずいぶん前からこの道を通っていましたが、教会だと思いませんでした」アメリカから来た青年の言葉。「こんなわかりにくい教会あるか!とんがり屋根がないじゃないか」教会にやっとたどり着かれた高齢の学者の言葉。一応、看板はあるのですが……。
芦屋三条教会は幹線道路から一本入った小路に面しています。外観は学校の校舎のようです。十字架もあるのですが、あまり目立ちません。十字架は道に映る影がきれいです。
65年前の4月、黒いうろこの壁の民家、全盲の玉田敬次牧師の自宅の一室で聖書研究会が始まりました。集う人が増え、伝道所、教会になり、建物の壁は白くなり、部屋の中に礼拝堂らしく鉄骨のアーチが入りました。ところが、30年前の阪神淡路大震災で全壊。視覚障害者の玉田牧師は隠退されました。

教会員に被災者が多く、月に一度大阪女学院の院長室で集まり、礼拝を捧げる教会生活が始まりました。先が見えない中で「会堂が欲しい」という声があがりましたが、建築資金はありません。ところがある日、院長室の窓からプレハブの校舎が目に留まりました。このプレハブ校舎は、中学校の校舎新築の間
だけに使われていた仮校舎で、校舎が完成したので取り壊されることになっていました。この校舎を譲ってもらえないだろうか、との思いが与えらました。
全壊した教会の今後を案じ、祈り助けようとしていた多くの教会、兄弟姉妹から献金が寄せられ、最初は中古のプレハブの教会堂の予定が、新築!2階に牧師館併設!クリーム色のプレハブ新会堂が震災から2年後に完成しました。外観は学校の校舎のような四角い、窓の大きな建物ですから冒頭のようなことがあったのです。「礼拝を捧げるところが欲しかった」のですから、礼拝堂
と玄関と台所とトイレ、物入れしかありません。実にシンプルな礼拝堂で毎週欠かさず、コロナウィルス禍の間中も集まり、礼拝を捧げています。
震災から30年が経ち、当時を知る教会員が少なくなりました。あのとき、解散を考えたこの小さな群れを憐れみ深い神は導き、必要を与え養ってくださっています。また、震災後に教会から4分のところにJR甲南山手駅ができたことも感謝です。
会堂建築のすべての返済が終わってから、神の愛をもっと届けるために、献金を捧げる資金捻出のための昼食会、礼拝後の物品販売、包丁研ぎなどを続けています。また、自然災害の被災者支援のために常時「くまモン献金箱」を置いています。
自分たちの力ではなく、会ったこともない多くの人々の祈りと愛によって与えられた会堂で礼拝することの幸い、苦難の時に神の強い御手に支えられていたことを、教会に来るたびに感じるのです。