120【編集後記】鎌野 直人師

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ChatGPTなどの文章についての生成系AIやStable Diffusionなどの画像生成AIの話が巷を賑わせています。将棋の藤井七冠(八冠になっている?)が将棋AIを使って研究をしていることも、皆さんご存じでしょう。これほどAIが一般化しつつあるけど、聖書に関してはまだなの、とお考えの方もおられるかもしれません。

今回の貴重本紹介で登場している『ネストレ・アーラント ギリシア語新約聖書 第28版」の解説に「ECM」という校訂版が挙げられています。この校訂版の作成にはAI的な手法も用いられています。新約聖書の数多くの写本を比較して、最もオリジナルに近いと考えられる読みを決定する際に、コンピューターを用いて比較検討を行っているのです。人間の知恵の積み重ねはもちろん重要なのですが、そこに知らずうちに潜んでいる偏見をコンピューターによる検討は曝いてくれる可能性があるのです。とはいえ、まだまだ、人間抜きで聖書は理解できないのも事実です。

クリスチャンセンター 神戸バイブル・ハウス 理事
関西聖書神学校 校長 鎌野 直人 師