KBH所蔵 貴重本紹介 その2:旧約聖書の分冊

今回は、玄関ロビーの書架のケースFの貴重本を紹介したいと思います。ここには次の明治および昭和初期に刊行された旧約聖書の分冊が展示されています。

  1. 蔵書番号48 旧約聖書詩篇1898(明治31)年
  2. 蔵書番号883 箴言1936(昭和11)年
  3. 蔵書番号886 ヨブ記1936(昭和11)年
  4. 蔵書番号927 第二イザヤ1939(昭和14)年

これらの本が刊行された経緯は次の通りです。明治初期、日本に伝道に来た宣教師達は、各教派が合同して和訳聖書に取り組みました。新約聖書については、1879(明治12)年に終了し、次いで旧約聖書に取り組みました。翻訳は最初、なかなか進まず、翻訳チームの改編等の紆余曲折があったのですが、最終的に常置委員会と言う組織ができ、1883(明治16)年の創世記を皮切りに1888(明治21)年の詩篇をもって完成しました。詩篇の翻訳を担当したのは、常置委員会の、G.H.F.フルベッキ、C.M.ウイリアムズ、松山高吉、植村正久です。いずれも日本キリスト教宣教史に名を残す偉大な人達ですね。あとの「箴言」、「ヨブ記」、「第二イザヤ」は、湯浅半月と言うヘブライ語を専攻した旧約学者で詩人でもある人です。これらは旧約聖書原典のヘブライ語から訳されています。湯浅氏は風流な方で平家琵琶を得意とし、レコードも販売されています。