100号【巻頭言】「野に咲く一輪の花」中村 豊 師

クリスチャンセンター
神戸バイブル・ハウス
理事長中村 豊 師

ニューズレター発刊100号を記念して新型コロナウイルスが蔓延するなか、100号目のニューズレターが発刊されました。現在まで編集・出版の労をとってくださった広報委員長はじめ委員の方々に深く感謝いたします。

当法人の活動に参画してくださっている方々のほとんどは兵庫県南部の教会に属しております。この人たちに風が吹いて、心のなかにしまい込んでいた種がふわりふわりと飛んで神戸の磯上通に着地し、種は次第に根を張って花を咲かせました。

1400年頃、世阿弥は能楽の極意を会得するために『風姿花伝』を記し、「時分の花よりまことの花」を説きました。「時分の花」は、年齢とともに表れ、盛りが過ぎると散ってしまう花のことです。「まことの花」は年齢を問わず、稽古と工夫によって初めて咲く花のことです。

山上の説教でイエスは、「栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。」(マタイ 6:29)と言いましたが、野の花自身は、自分は美しいとか、より一層美しくなろうなどと思ってはいません。ただ無心に花を咲かせるから美しく、警戒心もありませんから蝶や蜂が近づいてくるのです。

時代精神に翻弄されることなく、神の御言葉である聖書を心の支えとして、「まことの花」を求めて生きようとするのが神戸バイブル・ハウスの目的です。