100号【編集後記】「闇の中を歩んでいた民は大いなる光を見た」イザヤ9:1

日本聖公会神戸教区主教:
中村 豊 師
日本聖公会神戸教区執事:
遠藤 洋介 師

新型コロナウイルスの被害が続くなか、私たちの生活は大きく制限され、これほど人が動かなかったゴールデンウイークは初めての経験でした。世界中で多くの人たちの尊い命が失われている事実は、私たちの心の機能を低下させ、希望の光をも奪ってしまい、新型コロナウイルス蔓延がいつ収束するのかわからない混沌とした闇の世界に私たちが置かれていることを実感します。

このようななか、互いに助け合い、支え合う活動が次第に報道されるようになりました。オンライン上のサービスネットを通して、芸能人やスポーツ選手が自宅待機中の人たちや入院中の罹患者を励ますための動画やメッセージを発信しています。篤志家がマスクや防護服などが不足している国や地域へ支援物資を送っています。医療従事者や病院チャプレンは感染を覚悟で罹患者を励まし、回復のために戦っていますが、この人たちの働きに感謝するための共同の祈りやイベント、支援の輪が世界各地に広まっております。

2千年前のある夜、家畜小屋でイエスは誕生しました。幼子の誕生を祝うために、マリアとヨセフとは何のかかわりもない、羊飼いと占星術の学者がこの場にかけつけ、プレゼントを差し上げました。真っ暗な闇のただなかに置かれたマリアとヨセフでしたが、羊飼いや占星術学者の訪問はふたりにとって一条の光となったのです。どんなにつらくて悲しい状況のなかでも、神が側におられることを聖家族は実感しました。

今、多くの人たちが羊飼いや占星術の学者になり代わり、コロナ禍によって困窮化にある人たちに寄り添っています。いち早い2020年のクリスマス到来です。