KBH所蔵貴重本紹介_その14 G. P. ピアソン訳「略註旧新約聖書」(通称ピアソン聖書)
日本基督教興文協会、1927(昭和2)年刊行
談話室のガラスケースB 上段の「ピアソン聖書」を紹介する。本書は通称「ピアソン聖書」と呼ばれている。旧約は明治訳、新約は大正訳を用いている。
まず、「略註新約聖書」が1907(明治40)年に刊行され、次いで「略註旧約聖書」が1916(大正5)年に刊行された。本書は両書を合わせて1927(昭和2)年に刊行されたものである。
写真にあるように、ピアソンは本文の下段に詳しい解説及び引照を載せている。本書はプロテスタント初の注解付聖書である。ピアソンによる『略註旧新約聖書』の編纂は、膨大で長期間を要する作業であった。ピアソンは忍耐深く、献身的にこの作業を行った。当時としては、この種の仕事は類例を見ない。
ジョージ・ペック・ピアソン(George Peck Pierson、1861~1939年)はアメリカ長老教会の宣教師である。妻のアイダ・ゲップ・ピアソン(Ida Goepp Pierson)と共に、明治後期から昭和初期にかけて、北海道内を中心として農村でのキリスト教の福音伝道に尽くした。(池田憲廣)