99号【巻頭言】「共に仕えるために」野田 和人 師

神戸バイブルハウス 理事
神戸栄光教会牧師 野田 和人 師

これは、日本基督教団世界宣教委員会が教団派遣の宣教師の方々や関係教会を覚えて毎年発行している冊子の名前です。

祖母の代からのクリスチャンホームで育った私は、2002年4月、46歳の時に献身を志す前、大学を出て1981年から1996年までブラジル・サンパウロに居住し、そろばん教師、結婚、家庭教師と自由な生活を楽しんでいました。

帰国して6年後に献身し、3年間の関西学院大学神学研究科の学びの中で再びブラジルと向き合うことになったことから、今日の世界宣教を覚えて毎年発行されるこの冊子は、ブラジルの日系教会や教団派遣宣教師が遣わされているブラジルの教会が載っていることもあって、いつも手元に置いています。

宣教師の皆さんのご苦労を覚えつつ、「共に仕える」ことのできる恵みを心から感謝しています。

イエスさまにとっての「仕える」ことは、ご自身をすべての人のための身代金として献げ尽くすことにおいて表されました。それは、私たちの硬直した命を罪の中から買い戻して、また新たに弾力を与えて生かすという行為でした。

私たちの功績によってではなく、私たちの反抗、無知、過ち、愚かさにもかかわらず、イエスさまは私たちのために生き、そして死んでくださった。そのようにして「仕える」ことの究極の姿を私たちに示してくださいました。「あなたがたの中で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、いちばん上になりたい者は、すべての人の僕になりなさい」。

この「仕えること」に執着する歩みこそが、私たちの主への応答なのだと思います。

このことをあらためて示されたのが、ブラジルから帰国後、献身をして実践神学ゼミでの修士論文に取り組んだ時でした。『ブラジル日系社会におけるキリスト教宣教』というテーマに取り組む中で、在伯当時私が通っていた自由メソジスト・サウデ教会の岡田カチア牧師との再会、単立サンパウロ福音教会の小井沼國光牧師との出会いは、かつてブラジル社会の大きな矛盾を感じながらもそこでの生活を楽しむ側にいた自分に、そうではない生き方があることをあらためて生で示してくださった本当に得難いものでした。

キリストへの回心、聖霊が働いてキリストへと向き直らせてくださることを実感した二度目の瞬間でした。イエスさまは、かの地の人々を通してこのようにも仕えてくださったのでした。

「あなたがたは仕えられるためではなく、仕えるために、それも共に仕えるために、互いに仕え合うために私が遣わした者たちなのだから」と語ってくださる主イエス・キリストの召しに応えて、私たちに与えられている信仰を示しつつ、皆さんと共に日々の課題に取り組んでいきたいと心から願います。