102号【巻頭言】:吉田 隆 師

吉田 隆 師 画像

神戸バイブル・ハウス理事
セミナー委員会委員長

吉田 隆 師

日本キリスト改革派甲子園教会牧師・神戸改革派神学校校長

神戸バイブル・ハウスの屋台骨とも言うべき「聖書セミナー」が、新型コロナウイルス感染拡大のために、今年度は4月・6月のセミナーが相次いで(来年に)延期となってしまいました。ようやく緊急事態宣言も解除され、9月最初のセミナーは大丈夫だろうと思っていた矢先、7月末から再び感染者が増加。開催が危ぶまれました。講師は、東京からいらっしゃるご高齢の雨宮慧神父。すでに予約者もあり、どうしようかと散々迷った挙句、神父に直接伺うと「コロナは怖くありません。セミナーの準備の方が怖い!」とのこと。電話口で思わず爆笑。開催を決定しました。

雨宮神父のセミナーは、例年なら70名ほどの方が部屋一杯に集うはずでしたが、会館のコロナ対策のために定員30名厳守となりました。お断りしなければならなかった皆様には、改めて、心からお詫び申し上げます(なお、セミナーの録音は、講師の許可を得ましたので、バイブル・ハウスのホームページで聴くことができるようにしたいと思います)。厳重な対策をしながらではありましたが、やはりご本人がそこにおられるという“存在感”から伝わるものは、手軽なオンライン映像とは一味も二味も違うことを実感させられたセミナーでした。感謝!

16世紀の宗教改革者ジャン・カルヴァンは、次のようなことを書いています。「この人生を取り囲む災いは数え切れず、それを脅かす死も同じだけ多い。肉体は千もの病気の温床であるし、どこへ出かけても死の恐怖から逃れられない。船に乗っても馬に乗っても死と隣り合わせ、町の通りは屋根瓦の数だけ危険が待っている。家に居ても火事や盗難の心配を免れず、畑は不作の原因が満ちている。要するに、人間は生きている間中、首に剣を突きつけられているようなものだ…。ところが、ひと度、私たちが、神の摂理の光に照らされるや、それまで私たちを悩ませていた極度の不安と恐れだけでなく、いっさいの心配事から解放される」と。すべてのことは私たちの天の父の御手の中で起こる、と信じるからです。

この世に恐るべきことは山ほどありますが、真に恐るべき方が私たちの父であられるとは、何という幸い、何という慰めでしょうか!