107号【巻頭言】神戸バイブル・ハウス理事長 神田 健次 氏
過ぐる6月7日に開催された神戸バイブル・ハウスの理事会及び社員総会において、新たに理事長に選出されました神田健次と申します。
この大任には相応しい器ではありませんが、前理事長のご推薦もありお引き受けするに至りました。また、当日の総会では副理事長としてカトリック大阪大司教区の川邨 裕明 司祭(カトリック芦屋教会と甲子園教会の主任司祭)も新たに選出されました。前任の中村 豊 理事長は、バイブル・ハウスの社団法人化等重要な貢献を果たしてこられました。松浦 信行 副理事長のお働きと併せて、感謝の御礼を申しあげます。
20年ほど前、神戸の古書店で小型ながら革装丁の文語訳新約聖書を見出し、奥付に神戸で印刷されていたことに惹かれて購入いたしました。その後、神戸バイブル・ハウスに関わるようになり、改めて奥付を見てみると、「大正8年6月5日発行発行所神戸市江戸町九十五番屋敷大英国北英国聖書会社」(BritishandForeignBibleSociety,NationalBibleSocietyofScotlandKobeJapan1924)と記載されています。神戸バイブル・ハウスの歴史的ルーツは、「大英国聖書会社」(BFBS)と「北英国(スコットランド)聖書会社」(NBSS)が、1904年(明治37年)に居留地の京町24番地において日本聖書協会の西日本支社として聖書事業を開始したことに由来しています。さらに1907年、近くの江戸町95番地の土地500坪に新たな施設を建設して本格的な聖書刊行・販売事業を展開してきていますが、入手していた小型聖書がその時期に印刷されたことがわかり、不思議な出会いを覚えました。
太平洋戦争の勃発によってバイブル・ハウスは閉鎖を余儀なくされましたが、その後、阪神・淡路大震災を経て「神戸聖書展」を契機として2003年に再興を果たし、2017年には一般社団法人として新たにスタートしました。「神戸バイブル・ハウス(KBH)」は、かつての聖書の紹介と普及に貢献するだけではなく、諸教派のキリスト者が相互に違いを尊重しつつ協力して、セミナーや音楽会、展示会や美術展、講演会や巡礼旅行など、豊かな福音の証の働きを推進してきています。
ジュネーブの世界教会協議会(WCC)本部の中央講堂正面に、キリストを中心として世界各地に諸教会が存在している場面を描いた大きな壁画があります。そこにはヨハネ福音書17章からとられた聖句「彼らも一つとなるため」(22節)という主イエスの祈りが原文のギリシャ語で刻まれています。福音の証のために一致と協力が欠かせない点が、主イエスの祈りとして呼びかけられています。KBHもさまざまの試練を乗り越えて、これからも多彩なプログラムを通して主イエスの祈りに応答する歩みを共に担ってゆきたいと願っておりますので、ご支援を宜しくお願いいたします。
クリスチャンセンター神戸バイブル・ハウス 理事長
関西学院大学名誉教授