98号【巻頭言】「バイブルハウスの使命」白井 進 師
神戸バイブルハウス 理事
日本基督教団牧師・網干教会牧師代務者
白井 進 師
見よ、兄弟が共に座っている。なんという恵み、なんという喜び。詩編133:1
教会は神の家族と言われます。私たちはそれぞれ家族がいて、家庭の中で育ってきました。それ以上になぜ神の家族が必要なのでしょうか。
イエスが多くの人々と話をしている時、母と兄弟たちがイエスに会いたいと、取り次ぎを頼んだ。その時、イエスはこのように答えた。「わたしの母とはだれか。わたしの兄弟とは誰か。」そして、弟子たちを指さして言った。「ここに私の母、わたしの兄弟がいる。神のみ心を行う人こそ、わたしの兄弟、姉妹、また母なのだ。」(マタイ12:46-50、マルコ3:31-35、ルカ8:19-21)
このことは、イエスが、血縁の家族と仲たがいしていたとか、家庭をないがしろにしていたとかを言っているのではありません。イエスが家を出て神の国を宣べ伝える伝道の働きをした時、初め身内の人はイエスを取り押さえに来たというほどに、無理解でした。(マルコ3:21)しかし、イエスが十字架の上で死なれた後、弟子たちが母マリアを引き取り、兄弟のヤコブも教会の指導者になるほどに(ガラテヤ1:19)、イエスの理解者となったのです。
イエスはここで血縁の家族も家庭も、結ばれる大切な要素がなければ、壊れやすい関係であると語っているのです。
大切な要素とは何でしょうか。家族も家庭も神によって作られた関係であり、神の愛がそこに満ちるとき、良いものとなるのです。
英語でアットホームと言われるように、家庭がくつろぎの場であり、思いやり、優しさ、いたわり、理解、楽しさ、分かち合い、支え合い、許し合い、注意し合う気配り、安心に満ちていることが大切なのです。それには神を中心に祈りの交わりが不可欠なのです。
家庭がこの大切な要素を失うとき、危機が訪れます。一言でいうと大切なのは、聖書の言うアガペーの愛です。アガペーとはギリシャ語で無報酬の愛、無償の愛です。イエスは言われました。神からタダで受けたのだから、タダであたえなさい、と。
神戸バイブルハウスは聖書の魅力を伝える神の家族を目指して、カトリック教会、聖公会、プロテスタントの諸教会が教派を貫通し、協力して作られた、交わりと出会いと対話の場です。ここで神の言葉の力が証しされ、ここからその魅力が発信されるとき、バイブルハウスは救いの光が輝く場所となることでしょう。