135【巻頭言】KBH理事 佐藤 成美 師「悪の支配に抗して」

クリスチャンセンター神戸バイブル・ハウス理事
日本基督教団神戸栄光教会 牧師
佐藤 成美 師

「悪の支配に抗して」

「日に日に世界が悪くなる、気のせいか、そうじゃない」、NHKの朝ドラの主題歌を毎日聞く度に、「本当にそのとおり」と思わざるを得ないような出来事が、わたしたちの世界には日々起こっています。

2月28日にはアメリカとイスラエルがイランを攻撃し、新しい戦争を始めました。かの大統領はその攻撃によって死亡した最高指導者について、「ハメネイ、歴史上最も邪悪な人物のひとりが死んだ」と得意げに話しておりましたが、果たしてそれを語っている自分の姿が見えているのだろうか、これこそまさに「悪魔の所業」、そう思わざるを得ませんでした。

エフェソの信徒への手紙には、このように書かれています。「悪魔の策略に対抗して立つことができるように、神の武具を身につけなさい。わたしたちの戦いは、血肉を相手にするものではなく、支配と権威、暗闇の世界の支配者、天にいる悪の諸霊を相手にするものなのです」と。「わたしたちの戦いは、血肉を相手にするものではない」、この指摘はとても重要です。なぜならわたしたちは、「悪との戦い」ということを考える時に、それは自分の「信じる力」で悪や罪と戦うことなのだと、イメージしてしまうからです。

しかしいくらわたしたちが自分の「信じる力」でがんばってみても、この世における悪と罪の支配はびくともしません、それどころか日に日に世界は悪くなり、自らの内にある罪の力も強まっているように思えて来るのです。だからときにわたしたちは疲れ切って、「わたしの信仰は弱い」と嘆いたり、「信仰なんて何の役にも立たない」と言って信仰を捨ててしまったりするのです。これが、「悪魔の策略」です。

しかしこの手紙が語るように、わたしたちの敵は「支配と権威、暗闇の世界の支配者」であって、それは宇宙的な力です。だからいくら人間があがいても、その力には太刀打ちできません。

そこでこの手紙はまた、このようにも書くのです。「最後に言う。主に依り頼み、その偉大な力によって強くなりなさい」と。

イエス・キリストはあの十字架において、悪魔の策略に踊らされている人間の罪と弱さ、そしてその罪の故にもたらされる死そのものを、御自分の死と共に滅ぼし去りました。そのようにしてキリストは、悪の支配を打ち破り、悪と罪と死に勝利されたのです。だからその勝利により頼み、その「偉大な力」によって強くなりなさい、この手紙はそう勧めるのです。

国の内外において悪の支配がますます強まるこの世界にあっても、その悪に勝利されたイエス・キリストが共にいてくださいます。だからその勝利により頼み、恐れずに前を向いて、明日への一歩を踏み出すわたしたちでありましょう。「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている」。(ヨハネ16:33)